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送金アプリの上限が「1回100万円」になっている理由

100万円の線は、資金決済法の第二種資金移動業の上限です。第一種も持つ会社なら超えられる場合がありますが、個人向けを100万円までにしている会社もあり、各社の期間ごとの上限や受け取る国の上限も重なります。

最終更新: 2026年10月8日

高さの違う3つの門が並び、真ん中の門の横木と同じ高さまで紙の束が積まれているイラスト

日本から海外に送金するアプリやサービスの画面には、よく「1回の送金は100万円まで」と書かれています。この数字は各社がばらばらに決めたものではありません。銀行以外の送金事業者が登録する「第二種資金移動業」では、1回に動かせるお金が法律で100万円相当額以下と決まっています。一方で、100万円を超えて送れる「第一種」という種別もあり、どちらを使うかは会社ごと、商品ごとに違います。

この記事では、資金決済法と施行令の条文、金融庁の資金移動業者登録一覧(2026年8月31日現在)、各社の公式ページをもとに、100万円の線がどこから来ているのか、送れる金額を決めている決まりがほかに何層あるのかを整理します。各社の上限は変わることがあるので、実際に送る前には各社のアプリや公式ページで確認してください。

100万円の線は、資金移動業の「種別」から来ている

資金決済法は、銀行など以外の会社が仕事として送金(為替取引)を行うことを「資金移動業」と呼び、内閣総理大臣の登録を受けた会社だけに認めています(第2条第2項・第3項、第37条)。送金アプリを運営する会社の多くは、銀行ではなくこの資金移動業者です。

資金移動業は、1回に動かせる金額によって三つの種別に分かれます(第36条の2)。金額そのものは法律ではなく施行令に書かれていて、第二種は「百万円に相当する額」以下、第三種は「五万円に相当する額」以下です(施行令第12条の2)。第一種には法令上の金額の上限がなく、その代わりに業務実施計画を作って別に認可を受ける必要があります(第40条の2)。

資金移動業の三つの種別
種別1回に送れる金額主な決まり
第一種法令上の上限なし(認可を受けた業務実施計画で、会社が上限額を定めることがある)業務実施計画の認可(第40条の2)。金額・送る日・送り先がはっきりしない債務を負えず、送金の処理に必要な期間など内閣府令で定める期間を超えて債務を負えない(第51条の2)
第二種100万円相当額以下1人の利用者に負っている債務が100万円を超えるときは、そのお金が送金に使われるものか確かめる体制が要る(内閣府令第30条の2)
第三種5万円相当額以下1人の利用者に5万円相当額を超える債務を負えない(第51条の3、施行令第17条の2)

条文は e-Gov 法令検索で確認(2026年10月2日)。「相当する額」なので、円以外の通貨で送る場合も円に換算した額で判断します。

金融庁の解説によると、2021年5月1日に改正法が施行されるまでは、資金移動業者すべてに1件あたり100万円の上限がありました。改正では、それまでの仕組みを第二種として残し、100万円を超える送金のための第一種と、数万円程度の送金のための第三種を新しく作りました。今の「100万円まで」という表示の多くは、この第二種の上限をそのまま引き継いだものです。

図1 資金移動業の種別と100万円の線第三種は5万円相当額まで、第二種は100万円相当額まで。100万円を超える送金は第一種でしか扱えません。別の制度として、100万円を超える海外送金は送金した会社が税務署に調書を出します。
  1. 5万円相当額第三種で1回に送れる上限。1人の利用者に負える債務も5万円相当額まで。
  2. 100万円相当額第二種で1回に送れる上限(100万円ちょうどまで送れる)。2021年4月までは、すべての資金移動業者の上限だった。
  3. 100万円を超える額第一種でしか扱えない。また、銀行・資金移動業者を問わず、送金した会社が送金ごとに「国外送金等調書」を税務署に出す(別の法律による)。

第一種を持つ会社は85社中8社。持っていても個人向けは100万円までのことがある

金融庁の資金移動業者登録一覧(2026年8月31日現在)には85社が載っています。業務の種別の欄を数えると、第二種だけの会社が77社、第一種と第二種の両方を持つ会社が7社、第一種だけの会社が1社で、第三種の会社はありませんでした。第一種を持つのは合わせて8社です。

図2 資金移動業者85社の登録種別(2026年8月31日現在)第二種だけの会社が77社と大半を占め、第一種を持つ会社は8社です。第三種だけの会社はありません。

出典: 金融庁「資金移動業者登録一覧」(令和8年8月31日現在、2026年10月8日取得)の業務の種別欄を当サイトで集計。

数値を表で見る
業務の種別会社数
第二種のみ77社
第一種と第二種7社
第一種のみ1社
第三種0社

当サイトで比べている送金サービスのうち、銀行ではない5社の登録種別と、個人が1回に送れる金額の案内を並べると次のようになります。第一種を持っていることと、個人の利用者が100万円を超えて送れることは、必ずしも一致しません。

比較対象の資金移動業者の登録種別と、1回あたりの上限の案内
サービス登録種別(金融庁の一覧)1回あたりの上限(各社の案内)各社の説明の仕方
Wise第一種・第二種(関東財務局長 第00040号)100万円以下は第二種で扱い、超える額は自動で第一種に切り替える。第一種での大口送金は1億5,000万円相当まで100万円の線を第二種の免許と結びつけて説明
Instarem第一種・第二種(関東財務局長 第00073号)1回100万円まで(最低5,000円)「規制の遵守と送金の安全のため」
SBIレミット第一種・第二種(関東財務局長 第00008号)1回100万円まで「法令に基づき」。第一種は法人向けの新サービスに使う予定と発表
Smiles第二種(関東財務局長 第00044号)1回100万円まで「資金決済に関する法律に基づき」
DCOM第二種(北陸財務局長 第00001号)原則1回100万円まで規約では法律に触れていない

登録種別は金融庁の一覧(2026年8月31日現在)、上限は各社の公式ページ・規約(2026年10月2〜8日に確認)。Instarem の日本向けページは、ページ下部では第一種・第二種と書いていますが、よくある質問の回答では第二種と書いています。

SBIレミットは、2026年7月21日に第一種の業務実施計画の認可を受けたと発表しました。発表では、1件10億円まで送れる法人向けの「レミットPrime」を準備中で、開始時期は「今後予定」としています。個人向けの送金ページは、2026年10月8日の時点でも1回100万円までのままです。登録一覧の種別が変わっても、すぐに個人が送れる金額が増えるわけではないので、各社の案内で確かめてください。

100万円を超えて送るときは、残高からの支払いや到着予定の扱いが変わる

第一種と第二種の両方を持つ Wise は、日本の住所で登録している利用者の送金を、100万円以下なら第二種、100万円を超えるなら第一種で扱い、どちらにするかは自動で選ぶと説明しています。ただし、100万円を超える送金は Wise の口座残高から払えず、口座への入金も1回100万円まで、出金も1回100万円までです。

第一種での送金では、受取人・金額・到着までの見込み時間の三つに同意してから送ります。Wise は、到着が最初の見込みより遅れた第一種の送金は、新しい見込みを出すのではなく返金しなければならないとし、その理由を「第一種の規制」と説明しています。ただし、見込みを超える送金は「ごく一部」とも書いています。

この説明は、第一種の会社に、金額・送る日・送り先がはっきりしない債務を負うことを禁じ、送金の処理に必要な期間など内閣府令で定める期間を超えて債務を負うことも禁じる資金決済法第51条の2の内容と合っています。ただし内閣府令は、一定の保全の仕組みがある場合は最長2か月まで認め、受取人の情報の誤りなど事業者の責めによらない原因を解消するための期間も加えられるなど、幅を持たせています。つまり、「遅れたら必ず返金」は法律の文言そのものではなく Wise の運用です。Wise 自身は条文の番号を挙げておらず、条文との対応は当サイトの読み方です。

残高にも上限があります。Wise は日本の住所で登録している利用者に、すべての通貨を合わせて100万円相当の保有上限をかけていて、理由を「日本の規制のため」としています。上限は一時的に最大2,000万円まで、最長6か月引き上げられますが、上限を超えた状態が30日以上続くと口座が制限されることがあります。第二種の会社は、1人の利用者に100万円を超える債務を負っているとき、そのお金が送金に使われるものか確かめる体制を作らなければならない(内閣府令第30条の2)ので、それと関係していると考えられます。

法律の上限とは別に、各社が期間ごとの上限を置いている

1回あたりの上限が100万円でも、続けて何度も送れるとは限りません。会社によっては、30日・1か月・1年といった期間ごとの上限を独自に決めています。たとえば SBIレミットは、1回100万円の上限を「法令に基づく基準」とし、それに加えて「当社は独自に」次の上限を定めていると明記しています。

各社が独自に定めている主な上限(個人向け)
サービス期間ごとの上限など注意書き
SBIレミット会員登録後の初回送金日から90日以内は200万円、直近30日間で150万円、直近365日間で500万円、月20回まで標準的な基準で、会員の属性や送金の状況で別の基準を設けることがある
DCOM月200万円、年350万円いずれも「原則として」。上限を超える部分は送金する義務を負わない
Smiles利用者ごとに限度額・限度回数を個別に設けることがあるマネー・ローンダリング対策の法令やガイドラインに沿った運用。受取国や受取人によっては、限度額にかかわらず送金できない場合がある

各社の公式ページ・規約で確認(SBIレミットは日本語ページ。英語ページは内容が一致していません)。上限は予告なく変わることがあります。

こうした期間ごとの上限は、法律で決まった数字ではなく、各社が本人確認やマネー・ローンダリング対策の運用として置いているものです。同じ100万円以下の送金でも、直近の送金が多いと受け付けられないことがあります。家族の学費や引っ越し費用など、まとまった金額を何回かに分けて送る予定がある場合は、先に各社の期間ごとの上限を確かめておくと、途中で止まらずに済みます。

受け取る国の側にも、別の上限がある

送れる金額を決めているのは日本側の決まりだけではありません。お金を受け取る国の規制や、現地で受け取りを担う提携先にも上限があり、日本側の上限より低ければそちらが優先されます。SBIレミットは海外の提携先が独自の上限を設けている場合はそれに従うとし、Smiles も受け取る国の法令で上限がある場合は低いほうを上限にすると規約に書いています。

具体例として、Wise は韓国ウォンへの送金について、2026年9月1日から受取人の居住区分によって受け取れる額が変わると案内しています。韓国の居住者なら年間10万米ドル相当まで(1回あたりの規制上の上限はなし)、非居住者なら1回5,000米ドル相当まで、年間5万米ドル相当までです。Wise は、これとは別に Wise 側や送る通貨側の上限がかかることもあると書いています。

図3 送れる金額を決める3つの層日本の法律による種別ごとの上限、送金サービス各社の上限、受け取る国や提携先の上限が重なり、いちばん低いものが実際の上限になります。
  1. 日本の法律(資金移動業の種別)第二種は1回100万円相当額まで。第一種は法令上の上限がなく、認可を受けた計画の範囲で送れる。
  2. 送金サービス各社の上限1回あたりの上限(第一種を持っていても100万円までの会社がある)と、30日・1か月・1年などの期間ごとの上限。利用者ごとに個別に設けられることもある。
  3. 受け取る国・提携先の上限受取国の規制や現地の提携先の上限。例: 韓国の非居住者の受取人は1回5,000米ドル相当まで(Wise の案内)。

銀行の海外送金は、資金移動業の上限の外にある

銀行は資金移動業者ではないので、第二種の100万円の上限はかかりません。資金決済法が資金移動業を「銀行等以外の者」の業務と定めているためです。ただし、銀行の海外送金にも各行が決めた上限があります。下の表はインターネットで申し込む場合の案内です。

銀行のインターネット海外送金の上限(各行の案内)
銀行上限の案内補足
楽天銀行送金限度額は特に設けていない1回あたりにはシステム上の上限がある(金額は公表されていない)
三菱UFJ銀行1回300万円相当額以下、1日合計300万円相当額以下、1か月合計500万円相当額以下(手数料を除く)通貨や国・地域によって別の制限を設けることがある。グローバルダイレクトの契約者は1か月500万円相当額以下だけが適用される
三井住友銀行1日300万円以内、1か月500万円以内一部の国・地域は、受付日から30日前までの合計が100万円以内、かつ365日前までの合計が300万円以内(対象国は開示していない)

いずれもインターネットでの申し込みの上限です。窓口での送金の上限は確認していません。各行の公式ページで2026年10月3〜8日に確認。

100万円を超える金額を一度に送りたいときは、第一種で送れるサービスか、銀行が候補になります。ただし、銀行でも1日や1か月の上限があり、三井住友銀行のように一部の国・地域だけ上限を低くしている例もあります。どの方法でも、送金先の国によって条件が変わる点は同じです。

100万円前後を送る前に確かめること

大きな金額を送る前に、次の順で確かめると、途中で止まったり手続きが増えたりするのを防げます。

  1. 送る金額が100万円以下か、超えるか。超えるなら、そのサービスが個人向けに100万円を超える送金を受け付けているか(第一種を持っているかどうかだけでは判断できない)。
  2. そのサービスの期間ごとの上限(直近30日、1か月、1年など)と、これまでの送金額。利用者ごとに上限を個別に設けるサービスもある。
  3. 受け取る国や受け取り方法(銀行口座、現金受け取りなど)ごとの上限。受取人の居住区分で変わる国もある。
  4. 100万円を超える場合、支払い方法の制限(Wise では残高から払えない)や、到着予定を過ぎたときの扱い(第一種では返金になる場合がある)。
  5. 100万円を超える送金は、送金した会社が税務署に国外送金等調書を出すこと。マイナンバーの提出が済んでいるか。

上限を避けるために送金を細かく分けることを、この記事は勧めていません。上限や調書は、それぞれ利用者保護やマネー・ローンダリング対策、適正な課税のための仕組みで、分け方によっては各社の上限や確認の対象になります。まとまった金額を送る事情がある場合は、送金サービスや銀行に事前に相談してください。

送る金額によって、手数料と為替レートを合わせた総コストの順位も変わります。実際の金額で比べるときは送金コストの比較表で、受け取る国と金額を入れて確認できます。

手数料と為替レートを含めた受取額は、送金先ごとの比較表で見比べられます。

あわせて読む

出典

本文の数字・条文・各社の扱いは、次の公式ページで確認したものです。確認日より後に変わっている場合があります。

  1. e-Gov 法令検索「資金決済に関する法律」第2条第2項・第3項、第37条確認日 2026-10-02
  2. e-Gov 法令検索「資金決済に関する法律」第36条の2・第40条の2/同施行令 第12条の2確認日 2026-10-02
  3. e-Gov 法令検索「資金決済に関する法律」第51条の2/資金移動業者に関する内閣府令 第32条の2確認日 2026-10-08
  4. e-Gov 法令検索「資金移動業者に関する内閣府令」第30条の2確認日 2026-10-02
  5. e-Gov 法令検索「資金決済に関する法律」第51条の3/同施行令 第17条の2確認日 2026-10-02
  6. 金融庁 アクセスFSA 第213号(2020年改正の説明)確認日 2026-10-08
  7. 金融庁「資金移動業者登録一覧」(令和8年8月31日現在)確認日 2026-10-08
  8. 金融庁「資金移動業者登録一覧」/Wise 会社概要確認日 2026-10-08
  9. 金融庁「資金移動業者登録一覧」/Instarem 日本向けページ確認日 2026-10-08
  10. 金融庁「資金移動業者登録一覧」/SBIレミット 会社概要確認日 2026-10-08
  11. 金融庁「資金移動業者登録一覧」/Smiles 送金サービス利用規約確認日 2026-10-08
  12. 金融庁「資金移動業者登録一覧」/DCOM 会社概要確認日 2026-10-08
  13. SBIレミット ニュースリリース(2026年7月21日)確認日 2026-10-03
  14. Wise ヘルプ「Sending money with Type 2 licence」確認日 2026-10-08
  15. Wise ヘルプ「Sending large transfers if you live in Japan」確認日 2026-10-08
  16. Wise ヘルプ「Sending money with Type 1 licence」確認日 2026-10-08
  17. Wise ヘルプ「Delays and refunds for Type 1 transfers」確認日 2026-10-08
  18. Wise ヘルプ「Holding limits if you live in Japan」確認日 2026-10-08
  19. Instarem 日本向けページ(よくある質問)確認日 2026-10-08
  20. SBIレミット「個人のお客さま ご利用の流れ」確認日 2026-10-08
  21. DCOM 海外送金取引規約 第3条11確認日 2026-10-08
  22. Smiles 送金サービス利用規約確認日 2026-10-08
  23. Wise ヘルプ「Guide to KRW transfers」確認日 2026-10-09
  24. 楽天銀行「海外送金 送金限度額」確認日 2026-10-08
  25. 三菱UFJ銀行「外国送金」/三菱UFJダイレクト「ご利用限度額」確認日 2026-10-08
  26. 三井住友銀行「外国送金」/ご留意事項(PDF)確認日 2026-10-08
  27. e-Gov 法令検索「国外送金等調書法」第2条/同施行令 第2条確認日 2026-10-02
  28. e-Gov 法令検索「国外送金等調書法施行令」第8条確認日 2026-10-02